2015年11月10日

テスラコイルに神秘的な幻想を抱いている疑似科学系の方たちは過渡現象を使えばエネルギーの増大現象が起こるものと信じていらっしゃるみたいだがそれは大きな誤りである。

例えば、RLC回路(抵抗、コイル、コンデンサが直列接続された回路)に交流電源をつなぎ初位相がθ>0の電圧をかけると回路には定常項の電流と過渡項の電流すなわち定常電流と過渡電流が重畳してながれる。

回路定数の条件が減衰振動的であり共振周波数と一致していれば大きい電流がながれコイルまたはコンデンサの端子間には電源電圧より高い電圧が発生しますが、 しかしこれは誘導リアクタンスを容量リアクタンスで打ち消すことによって生ずる現象であってけっしてエネルギー増大が起こった訳ではない。

仮にもしこの高電圧のコイルから並列に電流を取りだそうものならすぐに取り出し口端子から見たインピーダンスは巨大になり不可能となる。

要するに回路にながれている電流は、電源から供給された静電エネルギーまたは磁気エネルギーが減衰振動的に交換され、その上に強制振動である定常電流が重畳しているだけなのである。

もう一度重複するが、自由振動である過渡電流は電源から供給されたエネルギーに過ぎないのだ。

この二つの電流はある意味、自立的に流れるので現象をややこしくしてしまうが、そもそもキルヒホッフの法則が成り立つ時点で過渡現象でエネルギー保存則を破ることが不可能であることは明白なのである。

もっともここで井出氏が提唱している第三起電力のような未知現象が介在してくるのならその可能性も出てくるだろう。

スタインメッツが完成させた交流理論だけではフリーエネルギーは実現せず、この理論を作らざるをおえない状況を与えたニコラ・テスラもやはりこの呪縛からは逃れられないものと思われる。
もっともテスラはスタインメッツ理論の外側にいる人間(独自の理論と試行錯誤で実験装置を組み立てていた)ので断言はできないが・・・・。

今回これを書いたのは井口和基氏の『ニコラ・テスラの[完全技術]解説書』を読んだからです。

 

追記:

井口和基さんご本人(?)から次のようなご意見を頂きました。

 

「テスラコイルはRCL回路ではありません。それは一部であって、それを幾つかつなぎ、最後に単一導線回路のオープン線路に入れるのです。回路ということばは閉曲線の概念ですが、テスラ回路というからすぐにキルヒホッフを想定しますが、オープン線路ですから、そうはいかんのですよ。また電圧が20V〜200V程度の普通の電圧での現象と20kV~5000kVの超高電圧高周波の電圧ではまったくそれに応答する回路や線路の物質状況も変わるのです。高周波は誘電体を通過するわけで、いわゆる電線内部を通る電流が生み出す磁場だけの話ではなくなるのです。ニコラ・テスラが問題にしているのはそういう場合における真空の応答の仕方のことです。」

 

これに対する返信を試みたのですがメールが550エラーになるので、ご回答はここでしたいと思います。

 

まず要点だけを述べさせて頂きますが、確かにテスラコイルは集中定数回路ではありませんが、分布定数回路としては普通のRCL回路だと思われます。

逆にお聞きしたいのですが「真空の応答」とは一体何のことでしょうか?
阿蘇哲弘氏は大型テスラコイルを製作して超高圧実験をやってましたが彼はエネルギー増大現象でも発見されたのでしょうか。

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